95年4・5月の日本生活教育連盟機関誌「生活教育」における誌上討論のよびかけの中で、私は「子どもとともにつくる社会科学習」の実践課題を(1)学習の自立と協同をどうつくりだすか(2)文化創造として社会科学習にとらえる(3)その際の教師の指導性とは、の3点に集約して問題提起した。誌上討論は、日生連や歴教協、教科研などに所属する教師・研究者の参加で興味深く展開された。 他方、95年夏、汐見稔幸(東京大学)を中心に21世紀を展望する小学校教科教育シリーズをまとめるという企画がはじまった。その中で私は、社会科を担当し、編集を進めた。子どもの主体的な学びを尊重している全国の先進的な教師に、「子どもとともに学びをつくる」という観点から実践を展開し、その成果を授業構想としてまとめていただくことを依頼した。1年余の交流と検討を通してまとめられたのが、「「教え」から「学び」への授業づくり(4)社会科」(大月書店97年1月刊)である。本書は、「子どもとともに学びをつくる」とはどういうことかを、実践に即して具体的に明らかにしている。謎解きのような知的探求の場面を生き生きと伝え、子どもたちが主体的に学んでいる姿を示すとともに、「子どもたちの周囲に学習材や情報を組織し、対話や討論を生み出している教師の働きかけ(指導性)を具体的に示すことで、子どもの学習における主体性と教師の指導性の統一された社会科の新しい可能性を明らかにしている。 なお、外山も共同研究者としてかかわる全国教育研究集会社会科分科会では、ここ2〜3年「子どもたちが自ら学び自ら考える」社会科教育実践の創造が一つの課題として設定されている。96年1月の北海道集会で、外山が「「教えるシステム」から「ともに学ぶシステム」への転換を」を提起し、「教師の教えることの意義・教師の役割」をめぐって活発な議論が進んでいる。(「日本の民主教育」94〜96・労働旬報社参照のこと)
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