本研究は、教師の「動作法」による指導技法習得のためのプログラムを作成することを目的として、3か年計画で組まれた。本年度は、その初年度であり、以下のような研究成果が得られた。 1.徳島県、高知県、福岡県で開催された「動作法」の研修会である集団集中訓練に参加し、座位、膝立ち位、片膝立ち位、立位の四つの姿勢でどのような指導技法が多く用いられているかを調査した。座位では、リラクセイション訓練(肩弛め、躯幹反らせ躯幹ひねり)、上体位て、左・右の尻での踏みしめ、膝立ち位では、リラクセイション訓練(腰伸ばし)、左・右の脚での踏みしめ、左・右の脚への体重移し、腰の落とし停めとせり上げ、片膝立ち位では、出し脚・支持脚への体重移し、立ち上がり、立位では、左・右の脚での踏みしめ、左・右の脚への体重移し、膝の屈げ・伸ばし、片足上げ、一歩踏み出しによる左・右の脚への体重移しが多く用いられていることが分かった。しかし、昨年から、四つ這い位での技法が用いられることが見られ(特に腕・手の使用を活性化させることを目的として)、注目に値するところである。 2.各集団集中訓練に参加した教師、教師を目指す大学生・大学院生の内20名の肢体不自由児への指導場面をVTRに録画し、指導技法が適切に用いられているかどうかを分析した。膝立ち位、立位では、子どものバランスが崩れやすく、指導者が子どもの姿勢を適切に支えられるという前提条件がなければ指導技法そのものを用いることができないことが明確になった。 3.九州大学教育学部附属発達臨床心理センター及び国立特殊教育総合研究所へ出向き、得られたデータを基に「動作法」の指導技法の適切性について検討した。
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