本研究は、教師の「動作法」による指導技法習得のためのプログラムの作成に向けて3か年計画で組まれた。この3年間の研究成果の概要は、以下の通りである。 1. 平成9年度より、徳島県においても、集団集中訓練(研修キャンプ)が開催されるようになった。これにより、教師は、指導技法実技、動作法理論講義、ケース研究、集団活動、母親指導等を系統的に研修する機会を得ることができ、指導技法の向上のみでなく、教師の訓練への興味・関心も増大している。 2. 動作法による訓練経験の全くない動作法未経験者、また訓練経験の浅い訓練初心者を対称にし、動作法の困難さの分析を行った。その結果、姿勢作りの段階で子どもの姿勢が崩れる(訓練課題に入れない)、補助部位を変えて姿勢を修正することができない、訓練への視点(重要なポイント)をもてない等が挙げられた。 3. 訓練歴の短いグループ(訓練歴3年未満の訓練初心者)と長いグループ(訓練歴3年以上の経験者)を比較し、訓練技法習熟度という視点から両者の差異を検討した。その結果、訓練歴の長いグループでは、姿勢修正パターン及び動作修正パターンの両方で修正成功の頻度が高いことが分かった。すなわち、姿勢保持課題、動作課題共に子どもの姿勢が歪むことなく可能であることを示している。 以上の研究成果は、4編の論文にまとめられ、研究成果報告書に掲載された。なお、本研究を遂行するために、3年間の間に、九州大学教育学部附属発達臨床心理センター、国立特殊教育総合研究所、山形大学の3か所へ出向き、得られたデータを基に訓練者の訓練技法について検討した。
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