1.先行研究の概観 英語教育及び応用言語学の分野で、英語学習者の英語ライティング、特に大学における学術的な英語のライティングに関して、論文、本、博士論文、辞典などを検索しカードに整理し、また本や論文の購入や複写をおこない、基礎研究を進めた。 2.データ収集と分析 このプロジェクトは、日本人大学生と英語母語話者の大学生が同じトピックで書いたエッセイを収集し、日本人のライティングの傾向や誤りについてデータを分析した上で、英語ライティング教育を向上させることを目標としている。今年度は、国際基督教大学英語プログラムで英語を学んでいる大学生約200人と同大学日本語プログラムで学ぶ母語話者20名が、環境問題について書いた1ページのエッセイを収集した。分析のためにコンピュータ入力作業を進め、データベースの作成を行った。日本人のライティングの特徴的なストラテジー、誤り、曖昧な表現を、文のレベル(語彙のレベルと文法統語のレベル)とエッセイ全体レベルの2つに大きく分けて、各々更に細かく設定した項目に分類した。母語話者のエッセイも同様に分析し、日本人と母語話者に共通する項目と日本人にのみ適用する項目に分けた。 3.教材とシラバスの作成 データ分析をもとに、日本人大学生向けの教材を作成するとともに、それを使ったライティングクラスのシラバスを作成した。このシラバスと教材は、国際基督教大学英語プログラムで使用し改善を図る予定である。 4.学会での発表と専門家によるレビュー 3月米国フロリダ州で開催されたTESOL(Teachers of English to Speakers of Other Languages)の大会で、このプロジェクトの経過を発表し、欧米や日本の研究者からコメントを得た。また、香港と米国ニューヨークを訪問し、複数の英語教育の専門家からプロジェクトに関して貴重な提言を受けた。
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