本年度は、身体リズム運動の有無が英語発話に及ぼす効果について基礎的なデータを収集した。発話者は同志社女子大学短期大学部英米語科16名である。16名を英語の発音能力が均等になるように2グループに分けた。発話文は日本語話者にとって、イントネーション、リズムが難しい4文を用いた。一方のグループは発話文を英語話者のモデル音声を聞いた後、繰り返し、もう一方のグループは、英語話者のモデル音声を聞いた後、それに合っていると感じる動作を発話者自身で考え、それを行いながら、繰り返した。 上で採取した音声資料を発話文ごとにランダム配置し、その「英語らしさ」を英語母語話者3名に評価させた。その結果、全体の傾向としては、「身体リズム運動」によって「英語らしさ」が向上することがわかった。つまり、「身体リズム運動」は英語音声教育方法の1つとして有効であり、さらに実験研究を進めるべきであることがわかった。しかし、それと同時に、「身体リズム運動」を用いることによって、発話速度が遅くなったり、stressを高さに頼りすぎたりして、かえって「英語らしさ」が低下することもあることがわかった。そこで、今後は、「身体リズム運動」をどのように用いればよいか、例えば、どのようなオリエンテーションを行うかといった、カリキュラム面、どのような学習者に効果があるかといった、レディネス面、どのような「身体リズム運動」が効果的かといった、テクニック面の研究が必要であることもわかった。
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