本研究の目的は、学習者が収集した周期現象の実データや解析結果を学習者が発信及び共有できる統合型学習環境を構築し、本学習環境の有効性を実際の授業で評価することである。平成8年度では、学習者が興味を持つような身近な物理現象を容易に収集できる環境をグラフ電卓、データ収集器(CBL)と各種センサーを用いて構築した。さらに、上記のテクノロジー環境を活用した実験・探究型授業を3テーマ実践した。 1.実験・探究型授業の設計 以下の手順で行う実験・探究型授業の設計を行った。 (1)コンピュータ、グラフ電卓、データ収集器、各種センサーを活用したデータ収集。 (2)コンピュータとグラフ電卓を活用した実データの関数式へのモデル化。 (3)一連の学習で得られた結果(データ収集・観察・推論・数学的モデル化)の情報公開(プレゼン)。 2.実験・探究型授業の内容 申請時では、周期現象の実データを三角関数でモデル化する授業を予定してたが、学習者が興味を持つような身近な物理現象に学習内容の枠を弘げた。以下に一年間実施した授業内容を列記する。 (1)距離センサーを活用して、等速運動と一次関数、落下運動と二次関数との関係を探究する(6時間)。 (2)温度センサーを活用して、お湯の温度の冷め方と指数関数との関係を探究する(6時間)。 (3)音センサーを活用して、音の音階と三角関数との関係を探究する(6時間)。 3.今後の課題 上記3つの実験・探究型の授業の有効性に関しては現在解析中である。また、学習者がインターネット上でこれら一連の学習で得られた結果(データ収集・観察・推論・数学的モデル化)を情報公開するためのインターネット環境も現在構築中である。
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