研究概要 |
本申請者は,平成7年1月より4名の被験者の日本語獲得過程を縦断的に調査してきた。平成8年度の主目的は,この観察を継続することであった。4名の被験者は次のような選定基準の下に選ばれた。1)来日したばかりで,日本語の知識が全くない,2)長期的に日本に滞在する予定である,3)両親が本研究に理解を持ち,協力的である。4名の内訳は,ニュージーランド人児童1名(観察開始時4歳5ヵ月),オーストラリア人児童1名(同10歳6ヵ月),ブラジル人児童2名(同6歳3ヵ月,8歳7ヵ月)である。観察手順は,本申請者と研究を援助してくれる静岡大学大学院生(4人)が1週間に1度静岡市内の公立小学校(西豊田小学校)に出向き,被験者の日本語能力の発達を縦断的に調査する。資料収集は,被験者の自由発話をテープまたはビデオテープに録音する方法を中心にしている。また、随時,絵カードや人形などを使い,調べたい文法項目を誘導させている。1度の訪問での観察時間は100分程度である。 しかし、この縦断的観察も平成9年3月をもってすべて終了した。また、平成8年の夏休みを利用して学生に依頼し、観察時のテープおこしをおこない、それ以前のかなりの部分が文字化することもできた。 平成9年度の目標は2つである。1つは、残された資料の文字化を一刻も早く終わらせること。もう1つは、研究成果をどんどんと論文に仕上げ発表して行くことである。
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