本研究の目標は、外国人児童生徒の日本語獲得過程を縦断的に調査・観察し、その習得過程を可能な限り明らかにすることである。そいて、その研究成果を外国人児童のためのよりよい日本語教育に生かすことである。日本語を第2言語として学ぶ児童生徒はどのようにして日本語を獲得して行くのであろうか。第2言語獲得研究が第2言語教育の基礎研究として大切なのは、その研究を通して得られた見識によって初めて、シラバスやカリキュラムの作成教授法や適切な教材の選択や作成が可能となろう。 本申請者は、平成7年1月より4名の被験者の日本語獲得過程を縦断的に調査してきた。そして、平成8年度の目的は、この観察を長期的に継続することであった。そして、この縦断的観察も平成9年3月をもって無事すべて終了することができた。 引き続いて、平成9年度の計画の第1点は、夏休み、冬休みを主に利用し、静岡大学教育学部の学生に依頼し、収集した習得過程の録音テープを文字化する作業をおこなうことであった。この作業は思いの外、大変な作業であったが、9年度1年間を通じて、莫大な量の習得データが完成できた。縦断的に習得データを取ることができた外国人児童は5名であった。国籍は、中国(1名)、ブラジル(2名)、ニュージーランド(1名)、オーストラリア(1名)である。 9年度のもう1つの目標は、研究成果を論文に仕上げ、発表して行くことであったが、これは残念ながらできずじまいに終わった。10年度は、最終年度でもあり、研究成果を積極的に世に発表していきたい。
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