研究概要 |
1.視点・ヴォイスの習得状況を調べるための「文生成テスト」の1年後の追跡調査(海外と国内)帰国した学生約100名と日本で学習を続けている学生約50名に調査依頼を送った。国内は38名回収されたが、海外の回収率は低く、統計的分析は不可能となった。従って、学習環境による差を厳密に調べることは無理であり、分析方法を以下のように変更した。 (1)日本の大学の夏期コースに参加するために来日したJFL(Japanese as a Foreign Language)の環境に於ける学習者のレベル別分析(Cross-sectional study) (2)日本の大学に1年間在籍したJSL(Japnese as a Second Language)の学習者の追跡調査:1回目のテストの得点によって分けたL,M,Hの3グループ別分析(follow-up study) (1)(2)を調査カテゴリ別に分析した結果、「複文」「受益文」はJFL、JSL両環境に於て習得状況はよいが、「視点」「間接受身」はJSLに於ても習得が進みにくいこと、また、補助動詞「てしまう」はJFLでは殆ど生成されないが、インプットさえあれば(JSLでは)容易に習得の進むことが分かった。これらの全体的傾向は「視点、ヴォイス、複文の習得要因」として「日本語教育92号」に発表した。更に「受益文」に関しては「てくれる」の生成が「てもらう」に先行することを平成9年1月に国際大学のConference on Second Language Research in Japanにて発表、「間接受身」に関しては7月にオーストラリアで発表の予定である。 2.上記「文生成テスト」に於けるデータと自然なプロダクションに於けるデータの比較 (1)作文、ロールプレイのデータ収集は完了し、現在分析中 (2)自然発話のデータは現在収集中 平成9年度は上記2のデータを中心に視点・ヴォイスの分析を行う予定である。
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