一昨年度、昨年度、日本語教育実習授業を観察することによって、日本語教育実習授業における問題点のうち、実習生が容易に改善できないものとして、以下のようなものが挙げられた。 1. コーラスなど、学習者全体で行う活動が多い。 2. 教師の発話や、教師→学習者という活動が多く、学習者どうしの活動が少ない。 3. 文型や単語の意味の説明を十分に行う前に、文型の練習に入ってしまう。 4. 定着が十分になる前に次の活動に入り、しばらくしてまた同じ活動に戻る逆戻り現象が多い。 これらのうち、1、2は授業を振り返った際に、「授業が停滞している」など、授業の雰囲気という印象では、実習生も十分に語れるものである。そのため、指導者がその印象に陥った原因を指摘すれば、次回からは改善できる可能性が高い。また、指導案作成の段階で指導者がチェック可能なものである。しかし、3、4は、学習者のレベルなどによって異なるなど、教えるスキルに関わるものであるため、一朝一夕には改善されるものではない。授業全体が見えていなければ、さらに、学習者を1人1人観察できなければ改善されることはない。そこで、指導者から促成栽培的に与えられた小手先のテクニックではなく、指導案の作成の仕方、授業観察の際の注目点、授業の振り返り方などについて、自己研修、相互研修ができることが求められる。そこで、それを促進するために、タスク形式を中心とした『日本語教育実習ハンドブック』を現在作成中である。
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