新記録数による確率変数列の分割 独立で同一分布に従う確率変数の系列で、最初からk番目までの間で、k番目が最大であるとき、これを最高新記録とみなす。新記録から次の新記録の手前までの確率変数をクラスターとみると、確率変数の順序統計量、順位統計量、が確率的に分割される。分割は過去の値だけで定まるが、分割結果は、全観測数で決まる。新記録数が与えられたとき、将来の新記録数の条件付き分布を求めると、第1種スターリング数の自然な拡張である第1種スターリング・カーリッツ多項式が現れる。この多項式および確率分布の性質を調べた。 新記録数の予測 独立で同一分布の前提をゆるめるために、Nevzorovの方法に準じたモデル化を行った。 このモデルで、過去の新記録数の数から、将来の新記録数を予測する方式を構成した。自然のデータである気温、降水量と、人間の努力の成果である、競馬、スポーツの優勝記録を解析して、もっともらしい結果を得た。 確率分割の間の距離 「もっともランダムな有限集合の分割」という概念を定義し、その性質を数学的に裏付けることを一つの課題としている。そのための道具として、独立な二つの確率分割の間のハミング流の距離、および距離に基づく確率分割の中心、を調べた。これによって、分類法という名前で提案されている多くの手法うに対して、統計学的な論理的な基礎を与える可能性を示した。 スターリング・カーリッツ多項式 新記録数が与えられたとき、将来の新記録数の条件付き分布は、第1種スターリング数の自然な拡張である第1種スターリング・カーリッツ多項式を因数としてもつ離散確率分布族となる。この確率分布族の性質を調べたが、その基礎となる第1種、第2種スターリング・カーリッツ多項式そのものの諸性質を調べ、公式集にまとめた。
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