研究概要 |
平成6,7年度に研究補助金を受け,多変量統計解析における推測に用いられる漸近展開公式の有効範囲の決定方法,精度の実験的近似上限を得る方法の開発に成功した。この方法を,多変量解析の推測の個々の場合に適用し,実用に対する手引を作成することを目的として本研究は計画された。平成8年度は「2群判別分析がWald-AndersonのW-ルールに基づいて行われる場合の誤判別確率に対する漸近展開公式」を取り扱った。まず漸近展開に基づく誤判別確率曲線を種々の場合を詳しく計算し,評価の対象範囲D:次元数2≦P≦12,Mahalanolisの汎距離0.6≦△≦5.0,training sampleの大きさをn_1≡n_2≡nとし,各Pに対するnの下限を定めた。公式の精度を正確な値に対する絶対誤差をYとする時,Yに対する近似的上限を Y【less than or similar】KP^ρn^λexp{a(Δ-0.6)}(1+ε),(p,n,Δ)∈D とし、K,ξ,λ,α,εを適切に選んだデータ(Pr,nr,Δr)に基づいて決めた。ただし、Yに関するデータは、Simulationに基づいて正確な確率を精度高く推定した値を用いて得られるが、ここで正規乱数を発生させる方法の検討が必要になってきた。すなわち、Box-Mullar法によるものと、仁木法によるもので微妙な相異が結果に現れたからである。本年度の研究は、日本統計学会第64回大会および九大での研究集会で口頭発表された。正規乱数の問題を解決した後近く学術誌に発表する予定。
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