2次元確率場の単位面積当たりの等価的無相関な点の数としての意味を持つ統計的自由度を定義した。この自由度は一般に整数次の自由度が考えられるが、物理的に意味があるのは1次と2次の自由度である。1次自由度は平均値に関するFisherの情報量と同じであり、2次自由度は2次ーメントに関するFisherの情報量と近似的に同じになるが、一般にはFisher情報量の計算は難しいのに対し、ここでの自由度は簡単に求めることができる。 このような自由度を用いると、合い隣り合う等価的に無相関な点の間の距離として相関距離が、また、各無相関な点が統計的にな意味で支配する領域の広さとして相関面積が導かれることを示した。ここで求まる1次相関距離は、いわゆるTaylorの相関距離と全く同じであり、また、2次相関距離はTailorの相関距離が適用できないような振動型の相関関数を持つ確率場に対して有用なものである。相関面積はこれらの相関距離を2次元場への自然な拡張となっている。 確率場のある軸の方向を時間軸と考えれば、2次元確率場は無数の時系列の集合と考えることができる。このように考えたとき、確率場のある方向の自由度は、多数の時系列の中で無相関な時系列が等価的に何本有ったかを表す指標となる。また、自由度の逆数は多数の時系列を束にしてみたときのその束の結合の強さを表す指標と考えることができ、これを時系列束の結合度として定義した。さらに、このような時系列束の時間軸方向の自由度の考えから、多数の時系列束の相関時間と相関関数(バンドル相関関数)を導出した。 さらに、本理論の応用として、気象衛星ひまわりからの画像を受診するための装置を購入し、赤外線雲画像の解析を行い、高、中、低緯度における雲の相関距離、相関面積、さらには、雲の寿命としての相関時間等を求め、各緯度における雲画像の性質の違いを考察した。
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