研究概要 |
1. オブジェクト進化の法則 オブジェクト指向分析・設計においてもっと重要な「オブジェクトの同定および進化」に関する事例を収集し,これを一般化することによりオブジェクトの進化の法則を明らかにする研究を進めている。Kurt W.Derrの著作「Applying OMT」に掲載されている例題「電子ファイリングシステム」を二つの方法論(OMTとOOSE/IMM)で分析・設計したときの初期オブジェクトの進化の様子を比較した。その結果,両方式で初期オブジェクト残存率が大きく異なり,OMTのオブジェクト識別方式(名詞抽出方式)に欠陥があることがわかった。 2.頑健性を向上するオブジェクト同定法 ユ-スケース制御パターン(境界,制御,実体という3種類のオブジェクトから構成されるパターン)を用いてモデル化することにより頑健性に優れたシステムを構築できるとの仮説を判定するための実験を実施している。実存する交通情報システムの複数の版の仕様書を対象とする。まず初版の仕様書をベースにユ-スケース制御パターンに基づく方式とOMT方式の2通りで分析・設計を行う。このようにして得られた設計に対して次版以降における改造を次々と適用し,改造による影響範囲の大きさを比較する。これまでに両方式を用いた初版の設計が完成した。 専用アーキテクチャのモデル化効果 各種の専用アーキテクチャのモデル化効果を測定する。比較対象として汎用アーキテクチャ方法論であるオブジェクト指向方法論OMTを採用する。これまでにプロセス制御アーキチクチャおよびOMTによる設計実験を行った。この結果,プロセス制御アーキテクチャ/方法論の方がOMTに比べモデル化コストが約60%少ないことがわかった。
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