研究概要 |
点集合の三角形分割とは2次元平面上の点集合が与えられたとき,その凸包を与えられた点を頂点とする三角形に分割することである。本年度は辺長和最小三角形分割(最適三角形分割)を厳密に求めるアルゴリズムを中心に開発し,次のような研究結果を得た。 (1)二つの三角形分割間の辺の交差に関するMatching Theoremという組合せ的性質を明らかにし,最適三角形分割の新しい下界:Single Assignment BoundとDouble Assignment Boundを与えた。また,Single Assignment Boundを任意の三角形分割とempty edgesの集合(点集合による任意の2点を連結した線分を含む集合)との最小重みマッチングにより求め,Double Assignment Boundを任意の異なる二つの三角形とempty edgesの集合との最小重みマッチングにより求めることを示した。これは分枝限定法を用いて最適三角形分割を求める際,新しい下界の使用を可能にした。さらに,これらの新しい下界がより厳しい下界を与え,部分問題の数を抑えるには有効であることは初歩的な実験結果によって確認された。 (2)動的計画法より,最適三角形分割を求める厳密なアルゴリズムを設計するため,その前処理として,より速く,より大きな最適三角形分割の部分グラフ(LMT-Skeleton)を求めることに成果を挙げた。具体的に,最適三角形分割に必ず入る枝を判断する既存のcriterionにもとづき,より多くの枝を発見できるように緩和したcriterionを与えた。さらに,このcriterionより,既存のO (n^4)時間とO (n^3)領域を所要するアルゴリズムより,少ない計算時間と計算領域(O (n^3log n)時間とO (n^2)領域)でアルゴリズムを構成した。この新しいcriterionの有効性は計算機実験によって確認された。
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