膨大な要求仕様から参照すべき箇所を的確に引き出すとともに分かりやすく提示すること、および要求変更の支援を目標としたソフトウェア要求仕様のデータベース化に関する研究を平成8年度と9年度の2年間の予定で進めている。 我々は要求フレームと名付けた要求を表現するためのモデルとそれに基づいた要求言語を開発しているが、要求フレームモデルは容易に関係データモデルに変換可能であり、要求文は動詞を関係とする関係表のタプルに変換できる。 研究の初年度に当たる平成8年度はタプル単位での検索や保守ができるような手法の確立と、要求仕様のためのデータベースに対する質問言語の設計と検索システムの設計を進め、質問言語の処理系を試作した。 要求データベースの検索手法では、質問に答える際に、要求文を具体例もしくは反例として提示するとともに自然な日本語で表現する特長があり、利用者は適切な質問を用意することによって要求仕様の正しさを確認できる。 また、要求仕様の変更手法として、変更要求をタプル単位で比較することによって、変更部分を局所化し、要求仕様を効率良く変更できるような手法を開発した。 平成9年度は今年度確立した手法のシステム化と並行して、ビジュアルに表現された要求のデータベース化手法と日本語で記述された要求から得られるデータベースとビジュアルな要求から得られるデータベースをマージし、整合性をとる手法を確立するとともに、それらのシステム化を進め、有用性を評価する予定である。
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