研究概要 |
1.交差antichainの同型定理の2値からk値(多値)への拡張について 交差antichainの同型定理(前年度の結果):(2値)n-cubeの下半分L_nから1次元下のn-1-cube E^<n-1>上への交差antichainsの集合を保存した1:1の対応関係(すなわち両者は同型である)の存在定理を,一般多値の場合に拡張しようと試みた.時間を使ったが結果的にこの拡張は成功しなかった.その理由は,多値n-cube k:={0,...,k-1}^nの部分集合で,1次元下のk^<n-1>と交差antichainを同型とするものをうまく定義する(見つける)ことが出来なかったことによる.多値の場合には交差antichainの定義もいくつか変種があり,問題は難しくなる.何時か再挑戦したい. 2.7-cube上の交差antichainの数え上げ n-cube上のの交差antichainの集合にはn変数単調交差(=clique)関数(すなわち単調関数と交差関数の共通部分)集合が対応している(前年度結果).単調関数の個数(=antcichainsの個数=Dedekind数)の数え上げは非常に時間のかかることが分かっている問題でn=7までが既知である.ただ,n=6まではbacktrack法でいわば直接的なやり方で解けるのに反し,n=7の場合には,数え上げの個数が巨大すぎて,数え上げでなく,次数を一つ下げたn=6の場合の構造に還元して,その個数だけが求められている. 同様な手法で7-cube上の交差antichainの数え上げをすべく,上記次数還元の構造を明らかにすべく努力した.残念なことに,正確な1:1対応を与える次数還元定理を見つけることは出来なかったが,数え上げに役立ついくつかの写像を構成し,求める個数の下界と上界を数え上げ的に,還元的に与える式を求めることが出来た.ただ,正確な1:1対応を与える次数還元定理なしでは,表題の数え上げは不可能であることも明らかとなったので,この方向の研究を次年度も続けることにした.
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