遺伝的アルゴリズム(GA)は、最適化問題の準最適解を比較的短時間に得ることができるという特徴があり、多くの分野で検討されている。しかし、実際にGAを実用規模の問題に適用してみると、実用的な時間内に満足できる最適解を求めることが難しいという問題がある。研究代表者は、この原因はGAに対して、(a)問題領域の知識を導入する方法と、(b)局所探索手法とハイブリッド化する方法が確立されていないためであると考えてこれらの検討を行った。(a)に関しては、知識をウイルスと見立て、個体の集団とは別にウイルス集団を生成し、遺伝的操作として新たにウイルス感染を導入すること、(b)に関しては、通常のGAによって比較的良好な準最適解が得られた場合に、それに対して山登り法を適用し、満足できる最適解を求めるという方法を提案した。 一方、探索の具体的な応用問題として、最近カ-ナビゲーションのための経路探索問題が盛んに研究されている。この問題は、従来、出発地から目的地までの最短経路を求める最適化問題として検討されてきた。しかし、実際のカ-ナビゲーションシステムでは、ドライバーの快適性を考慮することが不可欠である。そこで、本研究ではこの問題を制約充足問題としてとらえ、上記のGAの快適かつ準最短経路を求める検討を行った。このため、まず基本的な制約充足問題を対象として、本手法の原理的な有効性を従来手法との比較により確認した。次に、カ-ナビゲーションのための経路探索問題に対して本手法の最適方法を詳細に検討した。その結果、交差点数が6000以上の大規模な地図に対して本手法が有効であることが確認できた。
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