研究課題/領域番号 |
08680388
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
津本 周作 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (10251555)
|
研究分担者 |
鈴木 泰博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (50292983)
田中 博 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60155158)
|
キーワード | 機会学習 / ラフ集合理論 / エキスパートシステム / 医療データベース |
研究概要 |
従来の医療診断エキスパートシステムは、主として知識と推論表層的であるという問題のために実用化が困難であった。この問題を解決するために、"深い"知識・推論の導入が試みられてきたが、現在でもなお医学的な知識を詳細に表現できていない。このため、医師の管理しているデータベースから自動的に知識を抽出するための手法が機械学習の分野において研究されてきている。しかしながら、これらの手法が適用されてきるデータは無矛盾性が暗に仮定されており、確率的な知識を得ることは困難であった。 従来の機械学習で扱われているデータと診療知識の一番の大きな相違は、医学的な知識が不完全であるという点である。一見して、作用機序が全く異なり、相対するような疾患においても時にほぼ同じ症状を示すこともあり、機械学習を応用する場合もこのような矛盾を含んだ知識の学習も扱えなければならない。 このような矛盾を含んだ知識の獲得には次の二通りの考えからなる。一つは、領域の知識を含めることによって、新たな属性を構成、発見し、それによって分類能力を高めるという方法であり、もう一つは新たな構造を作りだすことなく、既存の属性による確信度を与えることによって信頼性の程度を計量化するという方法である。前者、後者共に領域特有の知識が必要であり、与えられた属性からのルールの導入そのものを"統語論的な知識"の導入と捉えれば、いわゆる"意味論的な知識"の導出と考えることができる。 1980年代後半より、医療データベースからの知識獲得のため、種々な機械学習のシステムが開発されてきた。しかしながら、これらのシステムは与えられたデータベースから一括して、ルールを静的に導出するものであり、動的な学習のためには、再度データベースを与えて、プログラムを再起動しなおす方法しか適用できなかった。 この問題を解決するために、我々はラフ集合理論に基づいて、時系列的に症例が与えられた場合に、漸増型学習を進め、ルールを改訂していくシステムを開発し、髄膜炎及び脳血管障害のデータベースを使用して、その有功性を検証した。 結果として、時間計算量を大幅に節約できたが、その代償として領域計算量を消費することが判明、規則の構造が大きく変わらず、規則のメンテナンスに限れば、漸増型学習システムの手法が有効であることがわかった。
|