研究概要 |
メカトロ機械の具体例として、仮想現実感システムで仮想物体から力覚を返すためのフィードバック装置の仮想組立とその挙動の可視化を試みた.この機械は,操作者が把持物体の代表点に対応させたグリップを把持してグリップを操作したとき,把持物体が他の仮想物体と干渉するなら,グリップ部に把持物体と仮想物体との衝突によって生じる力とトルクを返す装置である.装置は位置検出のためのポテンショメーターと,力覚を返すためのDCモーター,及び運動の伝達機構を構成するリンク構造から構成される. 当初の計画では,当該機器を専門家が組み立てた後部品を破損させ,原因を機器の挙動から推定するシステムを作成する予定であったが,DCモーターとポテンショメーターの仮想物体の定義が容易ではないため,この計画を以下の計画に変更した. 新たな計画の目的は,非専門家に当該機器を自由に組立させ,組立不能な状態に陥った場合,適当なところから再組立をさせることにより,組立世界を探訪させながら,機器の挙動と組立情報の関係を非専門家に理解させることである.正しく組立がなされると所与の挙動を示すが,そうでない場合,たとえ組立が出来たとしても誤った挙動を可視化することにより,組立誤りを操作者自身に認識させることによって,機器の組立と挙動の関係を理解させようと考えた. 現実の機械部品を使って自由な組立を非専門家に行わせると,部品破壊などにより回復不能な状態に陥る危険性が高いが,仮想部品を用いているため部品破損の可能性も破損に伴う傷害の危険もなく,たとえ元の状態へ戻す方法が分らない場合でも,自由に組み立て前の任意の状態から再試行が出来るため,大きな教育効果のあることが確認された. 電子機器の仮想物体のモデリングを如何にすべきかという問題は未解決であるが,初期の目標は達成されたと考えている.
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