研究概要 |
高度な仮想現実感(VR)システムを構築するためには,人間に馴染みの深い自然言語による対話や感情的な表現を考慮に入れた,利用者と仮想空間のインタラクションが重要となる.しかし,仮想空間内のエージェントが利用者と実際に対話するという機能の開発は遅れている.本研究は,対話機能を有する仮想エージェントを開発することにより,将来種々のVRシステムが構築されるときの,言語処理上の基礎技術を確立することを狙っている.またエージェントに,感情を生起させ,対話音声にはそれを反映させることを目指す. 本研究では,勧誘の話題に絞り,エージェントが利用者を勧誘するための対話処理に取り組んだ.そこでまず,被勧誘者の意図を汲みとり応答するため,被勧誘者の意図について解析を行なった.その結果,同意/不同意,長所/短所強調,など大きく5種類があり,さらにそれらの下位には,無条件で同意,短所判明で不同意など詳細に分かれ,合計52種類あることが明らかとなった.そして意図の抽出規則を作成した.また応答文生成のための処理とその制御機構を試作した.次に,エージェントの情緒生起について,情緒生起サブシステムのアーキテクチャを確立した.そして期待,怒りなどの8つの基本情緒のうち喜び/悲しみの生起のための特徴抽出プログラムを強化し,実験により情緒生起を確認した.
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