研究概要 |
マルチメディア通信や仮想現実などでは写実性の高い画像を高速に作成する技術が求められている.本研究では,カメラで撮影した実写画像とコンピュータグラフィックスで作成した生成画像を用いて高品質な画像を合成するための技術基盤としてカメラモデルとキャリブレーションに着目し,以下の検討を行っている. (1)統合カメラモデルの設計と実験的検証 (2)カメラキャリブレーション手法の検討 (3)カメラモデルを用いた画像生成法の検討 今年度は,統合カメラモデル設計の基礎となるズ-ムレンズのモデル化とキャリブレーション手法について検討を加え,ズ-ムレンズの特徴的な光学的歪みである口径蝕現象(画像周辺部の明度低下)の性質とその補正法を明らかにした.まず,単一凸レンズの画像生成過程で生じるcos^4θ現象による明度低下が主に広角レンズで問題となるのに対して,複数枚のレンズが構成する筒状の光路で生じる口径蝕現象による明度低下が主に望遠レンズで問題となることを示した.次に,口径蝕現象を解析するために単一凸レンズの前面に可変円筒モデルを付加したカメラモデルを提案し,円筒長,入口半径,出口半径の三つのパラメータで口径蝕現象を記述できることを示した.そして一様白色シーンを撮影した画像から求めたモデルパラメータを用いて実画像の明度低下の補正を行い,本モデルの妥当性と光学的歪み補正の有効性を示した.
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