平成8年度 まず、平成8年度においては、成人男女と子供の顔を計測した市販の距離画像を用いて、以下の研究項目について検討を行った。その結果を、平成8年度購入したグラフィックワークステーション上にて表示する。 距離画像における形状特徴抽出:微分幾何学に基づいて、距離画像から抽出可能な3次元形状特徴の調査研究を行った。特に、法線や3次元曲率の局所形状特徴の幾何的意味や利用可能性について調査した。また、代表的な3次元曲率計算アルゴリズム数種についてプログラムを作成し実験を行った。実験結果からそのアルゴリズムの安定性や計算効率を比較し、最適な3次元曲率算出ソフトウェアを開発した。 3次元曲率と方向の拡張ガウス像表現の生成:顔形状から抽出される、3次元最大・最小主曲率と主方向の統計的分布を得るために、各表面点を3次元主曲率の絶対値と主方向ベクトルを用いてガウス球上に写像し、3次元曲率特徴の拡張ガウス像表現を生成した。平成8年度購入したグラフィックワークステーションにてソフトウェアを開発して実験を行った。 拡張ガウス像における識別特徴の抽出:拡張ガウス像における、表面点の分布状況を統計的に分析し、識別に有効な凹凸領域を抽出するアルゴリズムを考案しソフトウェアを開発した。 平成9年度 平成9年度は、3次元曲率を用いる顔形状解析を進め、顔認識に至る以下の研究項目を検討に加え完成させた。また、平成9年度購入した小型高速レンジ-センサーを用いて、さらに実験データを収集しシステムの性能評価実験を行なった。 3次元曲率特徴の識別能力評価:判別分析法を用いて、最大・最小主曲率と主方向それぞれの特徴を、1)単独で、あるいは、2)複数を変数とした関数として、用いた場合の認識結果を統計的に分析し、それぞれの3次元曲率特徴の識別能力を評価した。さらに、3次元曲率の特徴としての有効性と安定性を、幾何変換に対する不変性、情報圧縮力、識別能力の観点から評価した。 球面相関を用いた顔認識法の実験と評価:各顔の拡張ガウス像表現の類似性を、球面相関法を用いて評価し、顔形状を認識するアルゴリズムを考案し、ソフトウェアを開発してシステムの性能評価実験を行なった。
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