人間主体のヒューマンインターフェースや高度セキュリティシステムの実現を目指す上で、顔の識別・認識に関する研究は増々その重要性を増している。従来の計算機による顔自動識別は、顔の濃淡画像からシルエット・目・口・鼻・顎等の2次元顔形状特徴として抽出し識別する手法が研究されてきたが、認識結果が濃淡画像の観測方向や照明条件に大きく依存し不安定であることがあげられている。 また近年は3次元形状計測技術の進展が著しく、最近では高精度の人物・顔形状データを実時間で安全に獲得できるようになり、顔距離画像から抽出される「曖昧さのない絶対的且つ観察方向に不変な3次元形状特徴」を用いた頑健な顔認識法の開発が期待されている。 そこで本研究では、顔距離画像を入力とし、観察方向に不変の微分幾何特徴である3次元曲率(と主方向)を用いて顔形状を特徴づけ、球面相関法を用いて顔を識別認識する方法を検討した。さらに、顔面のように複雑で類似した3次元自由曲面の認識における、3次元曲率の特徴としての有効性と安定性を、幾何変換に対する不変性、情報圧縮力、識別能力の観点から評価するために、以下の研究の項目について検討を行なった。 1)顔距離画像における3次元曲率特徴(主曲率と主方向)抽出、 2)拡張ガウス像(EGI)を用いた3次元曲率特徴表現の生成、 3)EGI空間における識別に有効な凹凸特徴の抽出、 4)3次元曲率特徴(絶対値と方向ベクトル)の識別能力の評価、 5)球面相関法を用いた顔認識と検証法の提案、 である。以上の研究成果は、IEEE第13回パターン認識国際会議とIEEE第3回顔ジェスチャ認識国際会議において発表した。
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