1.知識蓄積型遺伝的アルゴリズム 遺伝的アルゴリズム(GA)を最適化手法として実際的な工学応用に使用する場合に最適解の安定性またはロバスト性が重要となる。本研究ではRBF(Radical Basis Function)のσパラメータを探索空間のパラメータに加えこれを個体として定義した。また、最適解のピーク形状はRBFと評価関数との類似度を定義し、これを元の評価関数に加える形で修飾した変形評価関数(最小化)を用いて前記個体の進化を行った。最適化手法の評価に使われている代表的な評価関数について実験を行ったところ最適解の探索とピーク形状の抽出が同時に行えることを確認した。また、σパラメータに制限を加えることにより安定なピークを選択的に探索できることを確かめた。現在、ここで抽出したピーク形状の情報を蓄積して他の準最適解を探索する手法の研究を行っている。 2.遺伝的アルゴリズムの応用 GAの応用については、レーザプリンタに使用されるf-θレンズの設計とFM音源のパラメータ生成へのGAの適用について検討した。f-θレンズについては等速回転平面鏡および振動平面鏡によるレーザビーム偏向系を用い、片面レンズのモデルでGAによる設計を試み、レーザビームを感光ドラム上を等速で走査させるレンズの形状を求めることが出来た。現在、より実際的なモデルとして、ポリゴンミラーを用いた偏向系と両面レンズのモデルでの設計を検討している。 FM音源のパラメータ生成については、4オペレータのモデルに対してパラメータの生成をGAを用いて試みた。実験としては、基本的な波形の生成およびオルガン、クラリネットなど実際の楽器音に対するパラメータを生成し、試聴による評価で良好な結果を得た。 これらの応用実験を通して解の安定性、GAの収束性等の問題点を抽出した。
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