与えられた電子回路の構造と動作を説明するシステムの研究を進めている。電子回路は機能ブロックのハイアラーキとして構成されるが、この構造が言語の文法構造に類似していることから、回路を言語とみなし、これまでに回路の構造に関する知識を文法規則の形であらわす方法の開発を進めてきた。与えられた回路に文法を適用することで、機能を単位とする構造解析木を求めることができる。本年度は得られた構造解析木から、構造と動作を人にわかりやすく文章で説明するための研究を進めた。実際の説明に用いられる文章を調べるため、回路設計に用いられる文章をコンピュータに入力し、KWICコンコーダンスの作成を行った。また、文法規則に意味情報として機能ブロックの目的、動作、電気的状態や条件などの知識を付加する作業を行った。これらの情報は回路の構造解析の過程で対象回路に適合するように集められ、説明文生成のための情報源となる。回路を説明するシステムの見通しが得られたので、昨年度導入したワークステーション上にシステムのプロトタイプを開発し、1998年6月にスペインで開かれる「第11回人工知能とエキスパートシステムの産業と工学応用の国際会議」で報告する。本年度導入したPSプリンターはこのシステムの開発およびKWICコンコーダンスの印刷に用いている。
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