研究課題/領域番号 |
08680423
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 図書館情報大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆司 図書館情報大学, 図書館情報学部, 教授 (90041805)
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研究分担者 |
後藤 嘉宏 図書館情報大学, 図書館情報学部, 助手 (50272208)
原 秀成 図書館情報大学, 図書館情報学部, 講師 (00238164)
大庭 治夫 図書館情報大学, 図書館情報学部, 教授 (50152236)
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キーワード | 馬場重徳 / 戦後日本の図書館政策 / 戦後日本の図書館学とドキュメンテーション |
研究概要 |
第二次世界大戦後、国の図書館政策について、連合軍総司令部(GHQ)と文部省の実務担当者、故馬場重徳との間に議論が交わされたことは関係者の間に伝わっていたことである。馬場の逝去(1993)後、遺品文書の整理を本研究メンバーの間ではじめていた。段ボール約100箱のうち20箱を整理していたが、3年間の科研費の初年度の本年度は残る80箱のうち、約50箱を整理し、目録を作成し、分析をすすめた。また、国立国会図書館図書館研究所、同憲政資料室、東大法学部占領体制研究室などから関連資料の閲覧と複写を行った。さらに国会図書館の関係者、馬場の遺族へのインタービューを行った。 馬場は幼少期から教養ある英国人、仏国人について英語、仏語を学び、また大漢学者に師事して漢文の素読をしてきたという基礎教養豊かな人であり、その上に大学において電気工学の基礎になる物理学的方法を学び、かつヨーロッパ系言語の殆ど全てをマスターした人であった。また、学生時代にキリスト教の洗礼を受けた人でもあった。 荒廃した戦後日本の学問の復旧、その中でも図書館のそれを重視した行政官としての、また図書館情報学の研究者としての馬場は、上のような豊かな教養と学問の上にたつものであり、それはGHQがすすめようとしたものと、肌合いの違うものであった。そのことは、例えば、巷間伝えられるような、国の総合目録編集をめぐっての主導権争いに現れるだけでなく、図書館学に対する基本的概念の違い、さらにそこに由来する図書館実務の方法の違いにも見られるのである。彼はヨーロッパ流ドキュメンテーション概念の上にたち新たな学問の展開を図ろうとしたのである。
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