研究概要 |
今日のコンピュータには,旧来のように単に計算する機械から,我々人間の日常社会活動を支援する,いわゆるパートナとしての役割が求められている。そのためにはコンピュータに社会性を持たせることが必要である。これが本研究の動機づけとなっている。 まず,状況認識に基づいた情報管理・アクセスのための枠組みとしてSituated Information Filing and Filtering(SIFF)を提案した。また,その上での情報可視化モデルを新たに考案するとともに,実際にプロトタイプを開発した。システムにはエージェント指向のアーキテクチャを採用し,将来の拡張に備えた設計になっている。 一方,人間とシステムの関係に注目するだけでなく,人間と人間の間で交されるコミュニケーションへの状況の利用促進を図ることを目標に別途研究を行った。具体的には,物理的に同じ空間(いわゆる場所)を共有する人間同士の間での情報交換を支援する機能を開発した。同じ場所にいる人々は共通の興味・関心を持っている可能性が高く,それをきっかけにしたコミュニケーションは,従来のような固定的な仲間同士での会話の場合と比べて,ユーザに新しい視点や発想を与える効果が期待できる。 上記の研究を含めたこれまでの活動の結果,社会性という知的処理機能について,ある一定の成果が得られたといえる。
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