本研究では、人の感性による計量・評価データの解析手法の改良などを行い、以下の知見や成果を得た。 1.感性工学と感性情報処理の関係、感性工学の現状と動向、感性情報処理の現状とその基礎について考察した。 2.感性品質の評価データの解析手法として有効であると考えられる計量心理学の手法である「一対比較法」は評価対象が多数の場合には必要となる一対比較のすべての組合せの数が膨大になり実験の実施が困難になる。そこで、実験計画法の不完備ブロック計画を適用して、一対比較が対象数と回数回で済む方法を考案し、完全一対比較を分割して実施する場合を検討した。 3.VE(価値分析)手法で重要な機能評価で用いられる金額法(絶対的評価法)では曖昧さが考慮されないが、より微妙で複雑な商品に機能やコストを分析するため、機能およびコストを曖昧なファジィ数で与える場合を考え、価値比率をファジィ商の全順序関係により解析し着手順位を決定する実際的な方法を考案した。 4.商品開発の際に保証すべき品質や、新しい価値の創造について考察した。 5.マーケティングと品質管理と新製品開発の関係やマーケティングにおける品質について、内容及び課題を検討した。 6.感性商品の評価に関する選好構造を多元的に表現して、生活環境におけるアメニティを追求するためにファジィ構造モデルを応用することを試み、マンションのデザインの評価を高めている条件を明らかにした。 7.感性デザインのためのマーケティング情報システムの雛型としての「商品企画七つ道具」について有効性を検討した。
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