本研究は、高速なネットワークによって連結されるようなマルチメディア情報システムにおいて、システムの資源をアプリケーションごとに確保することによって、アプリケーションの品質を保証することが目的であり、それを実現できるようなスケジューリングの方法について検討するものである。 そのため、まず、資源予約による品質保証のためのスケジューリング方式の詳細検討と評価を行った。スケジューリング方式には多重化される論理結合間におけるバッファの配分の仕方により、大別して2通りの方法がある。一つは先着順サービスである。先着順サービスでは同じ資源を共有するすべての論理結合間でバッファを共有し、バッファの先頭からオブジェクトの到着順にサービスする形態となる。もう一つはRound RobinまたはProcessor Sharingのスケジューリング方式に基づく方法である。その場合、各々の論理結合がそれぞれのバッファを持ち、それらのバッファに入っているオブジェクトが巡回でサービスされる形態となる。後者は資源の予約および品質の保証がより容易に実現できる。このようなスケジューリングは、仮想時刻という概念を用いることによって、サービス時間が固定および可変のオブジェクトについて実現できることが明らかになった。また、解析およびシミュレーションを行った結果、このようなスケジューリング方式を採用した場合、各々の論理結合のための資源は、ある予約値以上に保証することができ、先着順サービスの場合よりも結合相互間の干渉を少なくすることができることが確認された。 現在では、このようなスケジューリングの実装方法について検討している。ワークステーションの通信階層において、このようなスケジューリング機能を実装できれば、データ転送実験によってその有効性が実証できると考えている。
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