研究概要 |
情報ハイウェイの性能評価を行うためのツールとして、拡散過程による連続モデルの開発を行い、以下の結果を得た。 1,ネットワーク内の各ノードを単体の待ち行列システムとして捉え、到着とサービスに関して一般的な過程の下で、系内客数過程を近似する連続(拡散)モデルを構築した。従来の拡散モデルでは厳密解との整合性を持たないという欠陥が見られたが、本モデルでは任意の厳密解と整合させることが可能で、近似精度が格段に改良された。適用例として、GI/G/s/NGI/G/s/N/K,集団サービスGI/G/1待ち行列の定常状態確率分布に対する近似式を導出した。この結果は、1996年5月に開催されたIFIP WG 7.3 Workshopで報告され、論文″Birth-Death-based Diffusion Approzimations for Queues″にまとめられている。 2,1,で考察した一般的な単体持ち行列に対する拡散モデルを,ネットワーク内のノードとして典型的な有限待合室を持つ複数窓口待ち行列に対しさらに精緻化し、数値実験による近似精度の検証を行った。この結果は、1997年1月に開催された「情報通信ネットワークの新しい性能評価法に関する総合的研究」シンポジウムで報告され、同シンポジウム報文集に論文″A Refined Diffusion Approzimation for Finite-Capacity Multi-Server Queues″としてまとめられている。 3,ネットワーク内の各ノードにおいて、擬似的な局所平衡関係が成立することを仮定し、1,の結果に含まれるM(n)/G/s/N待ち行列に対する近似解と組み合わせることで、閉じた待ち行列ネットワークに対する連続モデルを構築した。この結果については、日本OR学会春季研究発表会で報告する予定である。
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