次世代通信ネットワークとしての情報ハイウェイの設計・運用を支援するために、(1)ツールとしての連続モデルを構築する、(2)ネットワーク運用方策の有効性を検討することが本研究の目的であった。これらの目的に対して、以下の結果を得た。 1.ネットワーク内の各ノードを単体の待ち行列として捉え、パケットの到着と処理に関して一般的な仮定の下で、系内客数過程を近似する新たな拡散過程モデルを構築した。従来の拡散モデルでは既存の厳密解との整合性がないという近似上の致命的な欠陥が見られたが、新モデルでは任意の厳密解と整合させることが可能となり、近似精度が大幅に改善された。近似系内客数分布は明示的に表現され、最適バッファ設計等の問題への応用が容易になった。この成果は論文にまとめられ(成果報告書・資料2)、現在投稿中である。 2.1の結果を有限待合室・複数窓口待ち行列に対してさらに精緻化し、一般到着・指数処理の場合に厳密解と整合する近似解を得た。この結果は論文にまとめられ(成果報告書・資料3)、現在投稿中である。 3.ネットワーク内の各ノードにおいて擬似的な局所平衡関係が成立することを仮定し、1の結果と組み合わせることで、閉じた待ち行列ネットワークに対する連続モデルを構築した。この結果は既に学会で報告され(成果報告書・資料4)、現在論文にまとめている。 4.従来の拡散モデルとの対比と応用上の問題点を調査するために、コンピュータ/通信システムに対する拡散モデルのサーベイを行い、新モデルがデータベース管理等のコンピュータシステムの設計・運用においても有用であることが明らかになった。この結果は2編の論文にまとめられている(成果報告書・資料5・6)。
|