本研究では、多段階生産在庫システムに対する生産指示方式について、需要の非定常な変化に的確に対応する、臨機応変生産指示方式の開発とその有効性の検討を行うため、次のように研究を進めてきた。 1.生産指示方式のパラメータ変更による効果分析(平成8年度) (1)対象とする生産システムの検討・生産指示方式モデルの構築:本研究で対象とする需要の非定常な変化を考慮した多段階生産在庫システムのモデルを構築し、需要の非定常な変化に対する生産指示方式のパラメータとして、各在庫点の在庫水準を取り上げ、その変更を組み込んだ生産指示方式のモデルを構築した。 (2)生産指示方式のパラメータ変更による対応の効果分析:開発したシミュレーションプログラムを用いて実験を行い、需要の非定常な変化に対する生産指示方式のパラメータ変更による対応の効果を明らかにした。 2.指示方式の切替えによる効果分析(平成9年度) (1)指示方式の切替えモデルの構築:多段階生産在庫システムに対する生産指示方式である、かんばん方式とコンカレント型指示方式を切替えるモデルを構築した。 (2)生産指示方式の切替えによる対応の効果分析:開発したシミュレーションプログラムを用いて実験を行い、需要の非定常な変化に対して、生産指示方式の切替えとパラメータ変更による対応の効果を明らかにした。 以上の結果、需要の非定常な変化に対するパラメータ変更により、需要の非定常変動に的確に対応でき、パラメータ変更を考慮しない場合と比較して、平均総在庫量を最大で77%程度削減できることを明らかにした。また、指示方式を切替えることにより、さらに平均総在庫量を削減できることを明らかにした。
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