研究概要 |
(1)生産システムの設計のための評価基準:決定論的モデル,特に加工機械の最適切削速度問題では,経済的要因を取り入れた3つの評価基準が有効であると認められ,使われてきている.一方FMS等の設計で用いられるモデルはいわゆる確率モデルで,これに関する最適問題の普遍的な経済的評価基準は確立されていない.本年度は,上記3基準を確率モデルの最適問題へ導入することを提唱し,最適切削速度問題で得られた3つの基準下での最適値の大小関係が少なくとも決定変数がスカラーのとき,確率モデルを含む広範囲なORモデルで成立することを証明した.この成果は,最適化問題の基盤となることが期待できる. (2)FMSにおけるAGVの最適台数決定問題:FMSを確率モデルとして定式化し,(1)の結果と点過程の保存則を用い実用的な規模のFMSに,少なくともAGVを何台配すことが効率的か,という問題に対するアプローチを確立している. (3)自動検査工程の効率的設計指針:この指針を得るためのよい評価尺度が「検査工程の生産率」である.実用規模の工程を確率モデルとみなし,通常の方法でこの生産率を正確に計算することはほとんどできない.この生産率の近似解法を提案し,その有効性を部分的に明らかにした.
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