平成7年度は、実際の自動化生産システムに特徴的な要因を考慮したディスパッチング規則の開発と評価を中心に研究を進めた。とくに、現場では多くの場合そうであるように、ジョブが(一品生産ではなく)ロットを構成している場合のディスパッチング規則の開発と評価を行った。多くのFMSではパレットの有限性やものの流れに方向性がないことによって、ロットを構成するジョブが一括して処理されずにバラバラになる。こうした環境においては、ロットの生産に要するリ-ドタイムの推定が難しいが、総作業時間が少ないものほど高い優先度が与えられるディスパッチング規則が安定して良い納期性能、稼働率性能を有することが明らかになった。また、この結果が単純なFMSモデルに対して成立するばかりでなく、実在のFMSを反映した詳細なモデルでも当てはまることが確認された。 また、単純な作業時間ベースのディスパッチング規則の性能が良好なことをうけて、作業時間ベースの規則をもとに、シミュレーションを併用してより性能のよい優先順序を求めるための研究を進めている。シミュレーションを多数回繰り返せば性能のよい優先順序が発見できることは判明したが、この方法では膨大な時間がかかるため、シミュレーションを数回(たとえば、高々10回程度)実行しながら、最良の優先順序を求める方法について今後さらに研究を継続する。代替機械を考慮したディスパッチング規則についても検討中である。 スケジューリングの実態調査/分析に関しては、現場の実地調査が予想以上に難しいため当初予定した以上の時間がかかっており、次年度に引き続いて研究を進めていく。
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