1) ディスパッチング規則のの大域的(global)視点の導入:シミュレーションと探索を胸用した優先順序の最適化:ディスパッチング規則は元来、近視眼的(myopic)で大域的視点に欠け、限られた範囲での最適化しか期待できない。自動化生産システムでは、代替機械・代替経路の存在や、複数品種間の競合等に伴い、全体を見極めた上での最適化指向が運用効率の向上に大きく寄与すると考えられる。 本研究では、FMSに代表される、同種ジョブが1個流しで反復して流れるロットストリーミング環境が、多品種少量・変種変量生産体制の中で、極めて重妻な役割を担うことに着目し、シミュレーションによる性能評価と局所探索に基づく優先順序の最適化とを併用した、最適化指向のディスパッチングシステムを提案し、数値実験により、計算面においても、またスケジュールの性能面においても、提案する方法が良い結果を生むことを明らかにした。 2) ジョブの分岐と重複生産を許す2工程並列機械フローショップスケジューリングへの分割アプローチ:装置産業におけるスケジューリング事例を背景に、ジョブが工程進捗に伴って複数に分岐し、第1工程を終えた部品のロットストリーミングが可能な、複雑なフローショップスケジューリング問題を取り上げ、段取り回数・需要の満足度・在庫量を評価尺度とする問題を機械割当・バッチサイズ決定問題と順序付け問題に分割した上、それらを反復的に解くことによって良好なスケジュールを得る方法を提案し、数値実験によってその性能を評価した。機械割当・バッチサイズ決定問題は数理計画(正確には整数計画)を用い、順序付け問題は着手可能印こ制約がついた1機械順序付け問題を繰り返し解く。また、評価尺度を納期遅れとする問題に対して、ラグランジュ緩和を用いた分割解法を提案し、計算実験をもとにその性能を評価した。
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