本研究では、実際のショップにおけるスケジューリング、とくにディスパッチングの実態に基づき、現実の自動生産システムの特徴を反映したディスパッチング規制や最適化指向を組み入れた優先順序の探索法を開発し、計算実験に基づきそれらの性能評価を行った。実態調査の結果、大半のスケジューリング現場でディスパッチングが用いられていることが判明した。このことは、(いわゆるジョブショップスケジューリング問題に見られるような)ジョブやその作業の開始時刻や着手順序を個別に定める形のスケジュールの最適化は実用性に乏しいことを意味する。これを踏まえて、本研究ではスケジューリングの最適化をディスパッチングの最適化(ただし、従来型の「ディスパッチング規則の中から一番よいものを選択する」という視点ではない)と捉え、シミュレーションや最適化を用いたディスパッチングの最適化方策を提案・評価した。 具体的な研究成果として、主に以下があげられる:(1)同種ジョブが繰り返し流れるFMS環境下での作業時間に基づく優先規則の提案・評価、(2)シミュレーションに基づく探索を利用した優先順序の最適化方法の提案と評価、(3) 同種ジョブが反復するジョブショップにおけるリードタイムの推定方法の提案とスラック系優先規則への応用、(4)大域的(global)視点を導入したディスパッチング規則cooperative dispatching の提案と評価、(5)ジョブの分岐と重複生産を許す2工程並列機械フローショップスケジューリングへの分割アプローチ
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