研究概要 |
本年度は,三年計画の研究の初年度として研究方法の調査を行い,下記の通りの成果を得た. 1)各証券会社や銀行の総合研究所でのインタヴィユ-の結果,証券及び債券の投資が必ずしも数理モデルのみで運用されているわけではないことが判明した。その大きな理由は,意思決定者の判断を反映させることが数理計画法では困難であること,数理モデルが取扱いの現状を十分条件に織り込むことが困難であることにある. このようなことを勘案すると,現在行っているファジィポートフォリオ理論は現実の問題に関して意思決定を行う上で有益であることが実感できた. また,調査研究からファジィポートフォーリオ理論の将来の課題として,1)平均分散分析法の証券分野以外への応用の必要性,2)インデックスに近いポートフォーリオの選択の必要性,3)取扱い手数料の取扱いの必要性,4)二次整数計画法の効率的な遺伝的アルゴリズムによる解法の研究の必要性,を明らかにすることが出来た. 3)1)での平均分散分析法の証券以外の分野への応用として人員配置問題に適用して有効な成果を得た. すなわち,企業の経営政策には,人員計画,組織計画,財務計画等の広範囲の領域に関係している.これ等の経営政策は人員,設備,技術,資本の資源投下をともなう問題となることが多い。特に,これ等の経営政策には,技術の変化による不確実性,景気変動による不況,競争業者の政策や顧客要求の変化などの環境変化に企業全体と適応させる環境適応の機能が重要である.しかし,企業が経営政策問題を立案する際に適用される従来の手法では,固定化された条件の下での最適解の導出に重点が於かれている.さらに,そこでの目的は,利益最大もしくは費用最小としたものが少なくない.求められた最適解には政策のリスクに関する十分な考慮が必要である. 4)次年度への継続として 1)二次整数計画法そのものにインデックスからの差を評価指標に加える解法の検討, 2)遺伝的アルゴリズムへの組み込みが可能性の研究, 3)現在遺伝的アルゴリズムの知識提供に基づいた改良, を予定している.
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