研究概要 |
本年度は,3年計画の研究の2年度目として前年度の調査を行った時に明らかになった問題点を解決するための方法論を模索した.その結果次のモデルを構成し,成果を得た. 昨年度の各証券会社や銀行の総合研究所でのインタヴィユ-の結果,証券及び債券の投資が必ずしも数理モデルのみで運用されているわけではないことが判明した.その大きな理由は,意思決定者の判断を反映させることが数理計画法では困難であること,数理モデルが証券の取扱いの現状をモデルの条件に十分織り込むことが困難であることにある.このことを解決する方法として次の成果を得た. 1)現在行っているファジィポートフォリオ理論は現実の問題に関して意思決定を行う上で有益である.このため,我々が構成したファジィポートフォリオ分析を発展させた新しい方法を国際学会誌に公表した. 2)意思決定者が希求する目標期待収益を実現し,さらに従来取り扱いが困難であった売買手数料と証券市場への影響を最小にする投資パターンを決定するために,本年度では前期投資パターンから離れない投資パターンを見つける方法を構成し,学会で発表した. 3)また,二次整数計画法の効率的な解法としてボルツマンマシーンによるポートフォリオ分析の効率的な解法を構成し,学会で発表した. 4)これらの方法論の結果を証券投資の専門家との研究会で検討した結果,効率的で有ることを確認した. 次年度への計画: 次年度への継続として,次の3点を研究課題として予定している. 1)二次整数計画法そのものにインデックスからの差を評価指標に加える解法については未着手の問題として残されたので次年度検討を行う計画である. 2)ニューラルネットワークを用いた方法が効率的であるのでこの方法による限定証券数に対する投資比率を求める問題を解決する計画である. 3)現在の小規模モデルから実務的な規模の問題を扱うことを来年度の最終目標とする計画である.
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