研究概要 |
平成8年度から平成10年度までの3年間に渡り、限定証券数の選択のためのファジィ手法を開発する研究を行った.第1年度では,特に専門家の方法論を調査し,並行してパイロットモデルを開発した.第2年度では,それらのモデルによって分析した結果を専門家に諮問し,有効性を検討した.さらにそれらの意見を反映させたモデルの改良を行った.第3年度の研究では,ファジィモデルのみでなく,高速計算を行うためのにニューラルネットワークの方法論を導入したモデルを用いることを行った.この結果,ファジィ理論とともに意思決定者の希求水準を反映させた限定証券数の選択を可能とした効果的なモデルを開発した. 以下に得られた成果をまとめる. 1)第1年度および第2年度での投資の専門家とのインタヴィユーで明らかになった、投資パターンの決定において専門家の判断を反映させることの重要性を考慮して、投資の専門家の判断をモデルに反映させる方法を確立した. 2)本研究の目的である大規模な証券数の中から限定証券数を選択するための方法としてファジィ手法を提案した。 3)証券の売買が市場をディスターブするため,また売買手数料を考慮しなければならないので、前年度のポートフォリオからの変化量の少ない投資が好ましい。このためここでは前年度のポートフォリオからの変化量の少ない投資パターンを選択の方法を提案した。 4)また、ニュウーラルネットワークであるボルツマンマシーンによるポートフォリオ選択問題の解法では、期待収益とリスクとのウェイトを変更することによって、ハイリスク・ハイリターン戦略であるかローリスク・ローリターン戦略であるかを、投資意思決定者の好みにより調整できるモデルを考案した。 5)さらに、ボルツマンマシーンによる限定証券数の選択を可能にする階層型ボルツマンマシーンをモデル化した。 以上の成果をさらに発展させて、次の成果を得た。 6)ニューラルネットワークの手法であるボルツマン・マシーンを用いて効率的にポートフォリオ選択問題を解く方法を確立した。 7)これらの応用として国際的な投資を行うための方法論を階層的投資戦略として確立した。このための解決をボルツマン・マシーンを用いて構成した。
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