研究概要 |
曖昧性と不規則性を共に有するデータ,すなわち「曖昧不規則データ」を用いて,これらのデータの背後に存在するシステムの合理的な数学モデルの導出法,ならびにその数学モデル内の未知パラメータを同定する手法を確立することが本研究の目的である.そのため ●確率ベクトルの実現値として得られる不規則データを曖昧に認識する場合について初年度の平成8年度はその数学的なモデルとしての一種のファジィ確率ベクトルを提案した. ●昨年度はそれをさらに検討し,より合理的な定義法を提案した.具体的には、「ファジィ確率ベクトル」の可測性の定義を変更した.またこれに伴い初年度得られた「ファジィ確率ベクトル」の性質に関する結果を若干修正した. ●また,昨年度は若干厳しい仮定の下ではあるが提案した「ファジィ確率ベクトル」の系列について、通常の確率変数列に対する大数の法則に対応する結果を得ることができた.すなわちHausdorff距離を拡張して得られる「ファジィ確率ベクトル」に対する距離に関して、同じ期待値を持つ互いに独立な「ファジィ確率ベクトル」の系列の算術平均がその期待値に収束することを一定の条件下で理論的に確認できた.●本年度は提案した「ファジィ確率ベクトル」の高次統計学的モーメントのうち特に重要であると思われる2次のモーメントについて数学的に考察し,「曖昧不規則データ」から未知パラメータを推定する手法について考察するための基礎の確立にをめざした.
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