研究概要 |
本研究では,インターネットの急速な普及により,小売業としての地位を確保したダイレクトメールの価格的経営管理方法の確立に貢献することを意図して,次の3種類の問題に注目し,それぞれの問題を解消するためのモデル構築を試みた. ● カタログ発送打ち切り問題 ● カタログ発送直後の需要量に基づく商品の最終需要量の予測 ● 新規採用商品が売れ筋商品であるのか,死に筋商品であるのかの科学的判断 1番目の問題に対しては,再生報酬過程に基づくカタログ打ち切り時期に関するモデルを構築した.ここでは特に過去の購買回数が多い顧客を対象とし,K回の連続したカタログ送付に対して何ら反応のない顧客の対しては,以降のカタログ送付を打ち切るという方策を提案した. 2番目の問題に対しては,始めに各商品の累積需要量の時間的変化を平均値関数がH(t)であるような非定常ポアソン過程を用いて表現した.この上で,過去のデータにおけるカタログ発行直後の累積需要量の時間的変化を表す平均値関数と,カタログ有効期間終了までの累積需要量の変化を表す平均値関数との関係を利用した予測方法を提案した. 最後の問題においては,現在会員にのみ送付されているテストカタログを用いて新規採用商品のテスト販売を実施し,そこでの需要量がk以上であればそれを売れ筋商品とみなして,本カタログでも採用することとし,k未満であればそれをしに筋商品とみなして,本カタログでは採用しないという政策を提案した.この上で,最適な判断基準であるkの値を求めるためのモデルを構築した.
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