研究概要 |
社会システムにおける最適化問題を解く内点法についての基礎的な研究を昨年度に引き続き行った。今年度は、とくに実用的なアルゴリズムの開発とその理論的な収束性について研究した。 社会システムにおける最適化問題の多くは、数理計画問題としてモデル化することができる。最も基本的な数理計画問題は、線形計画問題である。モデル化された線形計画問題の特徴は、その規模が非常に大きくなることである。内点法は、反復解法であり、各反復ごとに線形方程式を解くことにより探索方向を求め、点を更新する。大規模な線形計画問題では、その線形方程式系も大規模になり、正確に解く場合には多くの計算時間を必要とする。そこで、アルゴリズムの計算効率をあげるために、近似計算を使い線形方程式系系を解く内点法を提案した。適当にステップサイズをコントロールすることにより、このアルゴリズムが収束することを明らかにした。 さらに、線形計画問題だけでなく、より複雑な問題をモデル化した、半正定値計画問題、半無限計画問題などについて研究した。そして、半正定値計画問題に対する多項式主双対内点法と2次維計画問題に対する多項式主双対内点法について研究し,それぞれに対するアルゴリズムを提案し,多項式性の証明を与えた。また、線形および2次の半無限計画問題に対する内点法に基づくアルゴリズム、凸半無限計画問題に対する双対パラメトライゼイションアルゴリズム、非線形の半無限計画問題に対する逐次2次計画法によるアルゴリズムなどの開発を行なった。
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