研究概要 |
平成8年度において構築された微動観測システムを用いて,岩手県盛岡市域4地点,秋田県大潟村地域で微動アレイ観測を実施し,以下に掲げる項目を実用化に向けた改良点として検討した。 1.実測データに基づいた空間自己相関法(SAC法)と周波数波数解析法(F-K法)との検出可能な波長範囲の比較 盛岡市域4点で観測された微動記録に基づいて,SAC法とF-K法の検出可能な長波長限界について検討を行った結果,SAC法では最大地震計間隔の4倍以上の波長まで,F-K法では1ないし2倍程度の波長まで検出可能であることが明らかとなった. 2.自己回帰モデルを利用した空間自己相関法の改良 従来の空間自己相関法において相関係数算出過程においてフィルタやFFTを用いていた際に生じるバンド幅に依存する位相速度の周期的なばらつきを軽減するため,自己回帰モデルを利用したスペクトル推定法による相関係数算出法を考案した. 3.微動に表面波の高次モードが混在した場合の空間自己相関法の改良 従来の空間自己相関法は微動中に表面波の基本モードの波動のみが存在する時の理論に基づいていた.本研究では高次モードが混在している場合,解析法の拡張をはかり,実際に観測された微動記録に同手法を適用し,基本モードと高次モードの表面波の位相速度を同時に推定することに成功した.
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