研究概要 |
前年度までに得られた結果を総合して,中部日本の断層系として代表的な敦賀湾-伊勢湾構造線と根尾谷断層系で計算された地震モーメント平均解放速度から,これらの2本の断層系(構造線)の地震危険度を総合的に評価するとともに,中国地方西部に分布する北東-南西方向のリニアメントを構成する活断層系(大原湖-弥畝山西断層系と岩国-上根断層系)との評価結果と比較し,以下の成果が得られた. (1) 平成9年度までに行なった調査結果を現地でチェックした結果,迫田-生雲断層に沿って明瞭なカタクレーサイト帯や断層ガウジが発見され,この断層と1997年6月25日に山口県北部地震(M6.1)が成因的な関係を持つことが明らかになった. (2) 既存の微小地震や重力データと現地調査結果を総合し,断層系(構造線)の3次元幾何学を復元した. (3) 伊勢湾地域に伝承されている沈島伝説に関して,史料や現地調査を行ない,これらの伝説はすべて敦賀湾-伊勢湾構造線に沿いに起きた大規模な地震と関連する可能性を指摘した.さらに,この地域で西暦862年と1578年に,これまで知られていなかった歴史地震の発生が推定された. (4) モーメント平均解放速度と,最新地震からの経過時間もしくは活動間隔から,中部地方の2断層系(構造線)の地震危険度を評価した. (5) 中部日本の主要断層系における地震危険度評価の結果をリスクマップとして表現するとともに,上記の結果をまとめた研究成果報告書を作成した.
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