河床洗掘を防止するために、従来、種々の工法が用いられているが、生態系に対する配慮から、最近、石礫護床工の利用が見直されている。動植物の棲息空間を確保する意味からは、護床工に比較的大きな間隙をもたせることが望まれるが、そうすると、間隙からの河床砂の抜け出しが生じやすくなる。本研究は、石礫護床工を上層から順次粒径の減少する階層構造にすることにより、大きな空隙の確保と河床砂の抜け出し防止を両立させつつ、できるだけ単純かつ経済的な設計条件を見い出そうとするものである。 そこで、どのような礫径と層厚を組み合わせればどの程度の洗掘が生じるかを調べるために実験を行ったところ、次のことがらが明かとになった。 1)表層礫が小さい場合、それ自体が輸送されて河床が変動する。 2)表層礫を大きくすると、それ自体の輸送は生じないが、層厚L_uが薄いと間隙から下層の砂礫が抜け出し、河床が低下する。 3)L_uが大きくなると、その粒径層だけで河床砂の抜け出しを防止できるが、それに必要な限界層厚L_<uc>はD_uが大きいほど大きくなる。 4)中間粒径層を入れた場合には、その組合せを適切に選ぶと、合計の礫層厚ΣL_iがL_<uc>よりも小さくても河床砂の抜け出しを防止できる。 5)中間層をさらに区分して粒径階を増やすと、同じ合計層厚でより大きな掃流力に対して抵抗できる。 6)鈴木らによる単一粒径の礫層による掃流力減衰率の推定式β=exp(-0.7L/D)を拡張して、掃流力減衰率βとΣ(L/D)との関係をプロットすると、ほぼ同じ関係が得られた。
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