河岸・河床の土砂吸い出しを防止するには、護岸・護床工等で河岸・河床の抵抗力を増加させることと、流れを制御して吸い出し力そのものを弱めることの2通りが考えられる。初年度の研究においては、主として前者に着目し、石礫護床工の礫径と層厚の組み合わせについて検討したが、今年度は主として後者に着目し、ベーン工を用いた湾曲水路における緩傾斜河岸と河床の洗掘力抑制法について実験的に検討を行った。 実験では幅40cmの180°湾曲水路に法勾配1/3の台形断面流路を設けて通水し、ベーン高さ、べ一ン長さと間隔、迎え角を変化させ、河岸侵食および河床洗掘状況の比較を行った。その結果、べ一ン工がない場合には河床の洗掘はさほど進行しない反面、河岸が激しく侵食された。そこで、従来、側岸の固定された長方形断面水路において推奨されている設計条件に準じて、高さを水深の1/2、長さを水深の約2倍、間隔を長さの約4倍、迎え角を-15°Cとするベーン群を法尻に設置したが、河岸の侵食は防止できなかった。 次に、ベーンの長さと間隔はそのままで、高さを水面よりも上にし、迎え角を+18°にしたところ、河岸の侵食はかなり軽減できたが、ベーンの近傍で激しい洗掘が生じ、それが広範囲に及んだ。 さらに、ベ一ンの長さを水深の約8倍に増やして間隔をその5倍に広げたところ、ベーン高さが水深の1/2の場合には河床の洗掘は軽減されるが河岸の侵食が激し<、ベーン高さを水面よりも高<することによって河岸の侵食と河床の洗掘をいずれもかなり軽減できることがわかった。
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