研究概要 |
本研究は、コンデンサーバンクを電源としたパフつきプラズマフォーカス装置を用いて、超高エネルギー密度状態プラズマ(>10^6J/cm^3)の生成とそこでの高強度軟X線発生機構解明を目的としている。研究は非接触で時間・空間分解能の高い画像的計測法を開発しながら進めた。すなわち(1)従来のイメージ管を用いた高速度カメラに代わる、新しいコンセプトによる軟X線、可視光、赤外などの多波長領域の流し撮り、多こま撮りが同時に可能なシステム、(2)MCPを用いた、露光時間200ps、こま間隔2.5ns、空間分解能0.1mmで連続4こま撮りかつ受光X線量の定量的評価の可能な高速度撮影システム、(3)凸面型結晶分光素子(RbAP,r=12.5mm)を用いた軟x線用イメージング分光器、などである。 これらを用いた同時測定により、パフガスであるネオン、アルゴン、クリプトンなどを圧縮加熱してそれらの気体の水素様、ヘリウム様などの高電離イオンを主たる成分とする、電子温度〜2keV,電子密度〜10^<22>/cm^3(〜3x10^6J/cm^3)の超高エネルギー状態プラズマが生成された。またプラズマの巨視的挙動と軟X線発生との相関を検討した。その結果、ガスパフ付きプラズマフォーカスにより生成されるプラズマ柱は通常のプラズマフォーカスに比べて数倍程度寿命が長く、軟X線はZ価の低いネオンの場合にはピンチ柱の崩壊する以前にm=O型と見られる不安定性の成長とともに放射される。よりZ価の高いアルゴンおよびクリプトンの場合にはプラズマ柱の崩壊直後に放射が認められた。これは大電流を荷なうプラズマ柱の崩壊にともない発生する高電界による電子ビーム、イオンビームの発生と時間的に一致する。これらより前者においてはK殻ラインの放射にいたるまでのプラズマ加熱は圧縮で十分であるが、後者においてはそれでは不十分でありK殻ラインの発生にはビーム・プラズマ相互作用による加熱が必要なためであることが判明した。
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