研究概要 |
1.高強度高クォリティサブミリ波ビームの発生 ジャイロトロン出力(円形導波管モード)を良質のビームに変換するための伝送系の設計を行った。このシステムでは,ビームの質の向上を計るため,準光学的アンテナと集光ミラーを用いているが,特にビーム形状を良好にすることと,操作性の向上に配慮している。そのため,ジャイロトロン出力を直線偏光ビームに変換するための準光学的アンテナとしては,充分遠方においてビームの形状が円形になるものを用いている。このようなビームは,1枚の回転楕円体形状の集光ミラーにより容易に収束できるので,ビームの進路を変えるための平面ミラーを組み込むことでシステムを構成できる。そのため,製作が容易であり,調整も非常に簡略化できる。しかも終段ミラー(平面ミラー)の角度調節だけで,歪ませることなくビームのスキャンが行えるので,ジャイロトロンを応用する場合に,機動性を向上できる。準光学的アンテナで得られるビームをイメージソースで扱い,回折理論を用いた計算を行い,収束点における強度分布を求めたところ,良好なビーム(半値幅12mm)が得られることが分った。 2.高強度高クォリティサブミリ波プローブ・ビームを用いたプラズマ散乱計測 新しい設計に基づいた伝送系の製作が間もなく完了するところであり,今後この伝送系によって得られたビームをプローブ・ビームとするプラズマ散乱計測を実行していく予定である。散乱計測は,新しく整備した局部発振器を組み込んだヘテロダイン受信系を用いて行うことにしており,プラズマの密度揺動の伝播方向まで同定できる筈であり,有用な情報を期待できる。 3.サブミリ波光源としてのジャイロトロンの開発研究 今回,定電流高圧電源を整備して連続発振に取り組んだところ,サブミリ波帯の定常発振(周波数301GHz,終了17W)を達成でき,光源としての明るい展望を開くことができた。また,高時間分解周波数測定器を完成させ,定常発振を調べてみたところ,周波数安定性は,現在到達できている測定器の周波数分解能2MHzより良好であることが判明した。この結果は,ジャイロトロンが高い周波数安定性を持つ光源として応用できることを示唆している。
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