研究概要 |
1.高強度高クォリティサブミリ波ビームの発生 ジャイロトロン出力(TE_<15>モード,周波数354GHz)を直線偏光ビームに変換する為の準光学的アンテナとビームを収束するための楕円ミラーより構成される準光学伝送系の設計・製作を行った。この伝送系では,良質なビームを得る為,準光学的アンテナから充分離れた場所に楕円ミラーを置き,ビームの収束を行っている。設計は,準光学的アンテナからの放射ビームをイメージソースで近似し,数値計算により回析理論を適用し,ビームの強度分布を求めて行った。この時の計算では,電磁場の全てのベクトル成分を求めている。実際に伝送系を組み立てビームを発生させ,強度分布測定を実行したところ,計算結果とビーム形状は幾分異なるものの,半値幅がほぼ一致したビーム(計算結果;58mm×55mm,測定結果;42mm×67mm)を得ることができた。 2.ジャイロトロンを光源とするプラズマ散乱計測 ジャイロトロン出力を準光学伝送系でプローブ・ビームに変換し,核融合科学研究所のCHS装置でプラズマ散乱計測を行った。電子サイクロトロン共鳴加熱(ECH)と中性粒子入射加熱とにより生成されたプラズマでは,電子温度が高い場合には,周波数150kHz位にピークが現れることが分かった。ドリフト周波数は,電子温度と密度勾配によって変化するが,このピークの周波数は,プラズマパラメータに依らずほぼ一定であり,単純にドリフト波とは考えられないものであることが分かった。 3.サブミリ波光源としてのジャイロトロンの開発 定電流電源(電流変動10^<-3>)を用い,周波数301GHzまでの発振において,連続動作を実現できた。水負荷測定によると,発振出力は20W以上あり,サブミリ波領域では強力であることが分かった。連続発振では,発振周波数の変動は,2MHz以下であることが判明した。ボディの電位を変化させることによって,ジャイロトロン出力の周波数変調を試み,120Vのボディ電位の変化によって発振周波数に29MHzの変調をかけることに成功した。
|